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 「後期高齢者診療料」の行間を深読みして、そう思ったという話。

 後期高齢者の「かかりつけ医」は診療所、または無医地区の病院で、必要な研修を受けた常勤医師がなることができ、患者の同意を取りつけて初めてその後期高齢者の「かかりつけ医」となる。
 で、この「かかりつけ医」がメインで受け取ることになる「後期高齢者診療料」(600点=6,000円)はいわゆる「包括」の診療報酬算定である。

 「後期高齢者定額パック」とでも言おうか。
 急性憎悪時の550点以上という非常に限られたもの以外は、血を抜いて検査をするのも、レントゲンやエコーを取るのも、包帯を巻くのも全て6,000円の中に含まれている。
 つまり自前で手厚い医療行為を行なえば行なうほど損をする仕組みだ。

 大して手がかからない患者であれば、この600点の中に納まるかもしれないが、ちょっとした医療行為をすれば600点など簡単に超えてしまう。
 医療機関にとってみれば、これでは全く割に合わない。

 ところが、患者はかかりつけ医以外への受診を制限されていない。
 一時期、かかりつけ医制度は患者の大きなアクセス制限を生むとの声があがったが、少なくとも現段階でアクセス制限がなされるような要素は見当たらない。
 そればかりか、診療計画の中には他の医療機関への受診計画の策定も含まれている。

 要するに「自分では何もやるな」ということなのだろう。

 「かかりつけ医」は急性憎悪時の緊急処置を除き、自分では何も行なわない。
 高価な検査機器や診断機器は持たず、全て他の診療所や病院へアウトソーシングを行なう。
 主な業務は後期高齢者の話を聞き、診療計画を立て、他の医療機関との受診調整を行なうこと。
 つまり「かかりつけ医」の正体は「医療版ケアマネ」である。 
 (都市部では、こうした調整を仲立ちするビジネスが成立するかもしれない)

 また、厚生労働省は「診療内容が74歳以下と75歳以上で根本的に変わるものではない」と言っているが、現実に74歳以下の患者が75歳になれば、診療報酬は出来高から包括になる。
 74歳まで自前の検査機器を用いていたのに、75歳で保険証が変わった途端、「1キロ離れた○○診療所で検査を受けてください」というわけにはいかないだろう。
 「患者の同意を取りつけない」という手法で出来高報酬を継続することはできようが、「鈴木さんは先生のところで検査したのに、佐藤さんは外で検査を受けろといわれた」みたいな話が広まれば非常にやりにくい。

 だから、後期高齢者の「かかりつけ医」を選択すれば、恐らくそれ専門でやるしかない。
 鈴木さんの「かかりつけ医」は○○医師で、隣の佐藤さんの「かかりつけ医」は△△医師で、という状態は考えにくく、ある地区の老人の「かかりつけ医」は皆○○医師、という住み分けが行なわれるだろう。

 600点の投資に対する重複頻回受診の抑制効果がどれだけあるかは未知数だが、後期高齢者専門の「かかりつけ医」が一定数増えたところで、1か月あたりの点数総量規制が課されることは十分想定される。
 まあ7:1にしろ、療養病床にしろ、進んでハシゴを登ったものは、後で痛い目を見るのが常である。
 
 危惧すべきは、この「医療版ケアマネ」が新たな国家資格として新規に医療従事者が増動員されるのであれば良いが、そうではない。
 今まで検査や処置を行なってきた診療所の医師が、自らは医療資源を生み出さず計画調整を行なうだけの「老人医療ケアマネ」に転職していくのである。
 その分だけ単純に医療資源が枯渇する可能性が高い。
 「かかりつけ医」が今まで自分たちが提供してきた医療以上に医療抑制に貢献すれば話は別であるが、これは考えにくいことである。
  
 その他にも医療訴訟については、かかりつけ医とそれ以外の医師との責任が不明瞭になるだろう。
 レセプトの審査については、どこも「かかりつけ医」と「後期高齢者医療被保険者」のDBを公には管理しないため、今までどおりのアナログで非効率な点検に多くの人的資源が投入され、保険料高騰の一因となる。

 悲観的かもしれないが、「かかりつけ医」制度の導入で良くなることは余り無い、むしろ医療崩壊が促進されそうな予感がする。



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 シスアドでセキュアドな後期高齢者医療制度SNS管理人。
 後期高齢者医療制度の資格事務担当だったはずがひょんなことで電算担当に。

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