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そもそも社保扶養者に対する減免措置は、当初から考慮されていた。
その内容は、所得割を免除してかつ均等割も5割減とするものであり、過去の記事で触れたとおり、厚労省は少なくとも5月ごろからこの減免を考慮していたようである。
与党PTが判断を下した保険料凍結の内容は、こうした従来の軽減措置に加えて制度施行後半年間の均等割を免除、更にその後の半年間の均等割を9割減するというものだ。
これらの減免措置は実質は扶養者への負担凍結であり、弱者救済のための福祉施策としては的がずれていることを過去の記事で述べたが、さめた見方をすれば、これは至極当然なことなのであろう。
(本来より弱者といえる)老人単身者への救済措置は1票にしかならない。
だが、被扶養者への救済措置はまず(扶養者と被扶養者の)2票確定、場合によっては3票や4票に化けるかもしれない。
しかも当初の軽減措置があるから、保険料全額を立て替えなければならない単身者に対し、被扶養者は均等割の5割のみで良い。
被扶養者への救済措置の方が、「政権を担う国民の代表」にとって実に具合が良いのである。
そしてはた迷惑な事だが、「政権を担う国民の代表」にとっては、「制度開始を遅らす」のではなく「負担を軽減してやる」のでなければ意味が無いのだ。(たとえ結果が同じであっても)
さて、下衆の勘繰りもほどほどに、これらの軽減措置の事務への影響を考えてみよう。
当初から考慮されていた均等割5割減が政省令に規定されたのに対し、与党PTによる保険料凍結は法でも政省令でもなく、広域や市町村の条例にて対応せねばならない。政府や厚労省が厄介事を投げ出し、しわ寄せがもろに現場に来た形である。
当初の均等割5割減が恒久的に2年間保証されているのに対し、与党PTによる保険料凍結が時限的であるのも話をややこしくしている。
例えば、制度当初から後期高齢者医療制度に移行する人は半年間保険料免除、半年間均等割1割減のみであり、残り1年は均等割5割のみとなる。だが、1年後に75歳になる人については、与党PTによる保険料凍結の恩恵は全く受けられないのだ。
広報や窓口での説明において難が生ずることは容易に想像できる。
保険料徴収が原則年金からの天引き(特別徴収)であることも厄介だ。
市町村は特別徴収依頼の情報を来年1月中旬には固めなくてはならないが、当然、凍結対象者である社保被扶養者から天引きしてしまったら問題である。
だから、被保険者台帳の創生のため市町村が広域連合に提供した老人保健情報の中の情報から旧国保対象者のみを特別徴収対象者とするよう広域連合にて選定を行う手はずとなっている(任意項目だから、と個人情報保護のために保険情報を搭載しなかった市町村は、残念ながらこの時点でアウト!)。
残りの対象者のうちで、社保の本人であることが判明した場合には普通徴収(窓口払いや口座振替等)にて保険料を徴収し、被扶養者の場合には免除だから何もしない、という流れだ。
当然、1月中旬から3月末までの間に国保から社保の被扶養者になった場合は、「あまり想像したくない事務」が待っていることになる。
ちなみにこの「社保の被扶養者である」という情報は支払基金経由で広域連合に提供される予定であるが、住所情報をろくに保有しないのに、都道府県別にどう分割するか謎である。
噂によると、まだインターフェース仕様も何も決まっていないらしい。
土壇場で現場にしわ寄せがくるのはご免被りたいものだが、決して楽観視せず、市町村にて対象者を選定するという最悪の事態を見込んでおいたほうが安全であろう。
もう1つ。「障害認定の取下」も同じ問題をはらんでいる。
現在障害認定により老人保健医療の対象となっている者が、来年1月中旬から3月末までの間に障害認定申請の取下を行った場合も前述の「あまり想像したくない事務」が発生することになる。
実は、ある自治体が8月に「平成19年10月捕捉において、市町村の判断により、特別の事情として障害認定対象者を特別徴収対象被保険者としないことは、可能と考える。」という回答を厚労省から引き出している。
その根拠は、高齢者の医療の確保に関する法律施行令附則第12条第3項である。
この厚労省見解が現在においても変わっていなければ、市町村の独自判断により障害認定対象者を当初の特徴対象から外すことは可能である。
なおこの条文については、当初案では「後期高齢者医療広域連合が定める額を基礎として市町村が定める額」となっていたものが、単に「市町村が定める額」と変更されており、興味深い。
現在、厚労省は「この条文を持って全ての被保険者を当初の特徴対象から外すことは不可」と明言しているが、一部の自治体において特徴開始時期を遅らせる要望が出される気配もあり、今後どう動くか予断は許さない。
スケジュール的に厳しい時期に入るが、まだ波は続く。
急な動きに対応できる体制を整えておくべきであろう。
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COMMENTS
かにニッパ
#-
2007/11/19 | URL | EDIT
こんどは徴収事務担当から苦情が出そうですよネ…(x_x)
普通徴収は1,2割って言ったジャン!話違うジャン!って。
現職公務員SE
#1tpQKjho
2007/11/20 | URL | EDIT
多量の普徴がよいか、頭を下げながら過誤納&還付事務を行うほうがよいか…
組織の体制や予算にも大きく関わってきますので、難しい問題です。
harayosi-2
#vEwOOp76
2007/11/23 | URL | EDIT
これらの措置の狙いは、来年春の制度スタート時点では、従前の負担と大きな変化はないと、感じさせることにあると思います。
そのための、軽減・減額・救済措置が盛り込まれ、難解かつ複雑で難儀な事務を、現場ではすることになります。
負担増・制度改悪を実感しない、春から夏の間に解散総選挙が実施されることとなるのでしょう。
中の人でも、いやそうであるからこそ、批判の視点を持っていないといけないのではないでしょうか。
そんな思いで、後期高齢者医療制度批判をTBさせていただきます。
maillot
#yl2HcnkM
2007/11/23 | URL | EDIT
「法令にないものを条例に盛り込むなら、市独自の軽減も条例に盛り込めないか?」
というツッコミTELを某議員からいただきました。
はぁ。