さて、タイトルでいうROMというのは"Read only Memory"のことではない。
ネットスラングの"Read Only Member"、すなわち「掲示板などの双方向コミュニケーションの場で、読むだけで発言(記事投稿)を行わない利用者」のことだ。
応用として「半年ROMってろ!」(場の雰囲気をまずつかんでTPOをわきまえた投稿をしてください)という言葉もある。
このROMという行為は賛否両論がある。
発言というのはいわば情報提供にあたるわけだが、「情報を一方的に搾取するだけのメンバー」と酷評する意見もあれば、「情報価値が低い発言が増えるくらいならROMってくれた方が良い」と考える者も居る。
Webページの情報を閲覧するのは本を立ち読みするようなものだが、掲示板やチャット、メーリングリストなどを閲覧するのは他人の会話を聞くのに似ている。
耳をそばだてて人の話を盗み聞きするのは、現実社会では失礼な行為だが、ネット上では(完全ではないものの)他人に認知されずに容易に出来る。
情報は欲しいけど面倒はゴメンだ、というのは誰しも思うことだ。
言い方は悪いが、そういうことである。
一方、SNSについては、こうしたROMを減らしてコミュニケーションを促進する工夫がなされている。
足跡機能や友人機能(mixiのマイミク機能)などがそれだ。
「盗み見」や「盗み聞き」は相手に認知されない(と思える)から出来るのであって、明らかに相手が「その行為」を知ることができればそうもいかない。
知り合いとすれ違う際に会釈の1つも交わさなければ失礼にあたるのと同じだ。
その意味では現実社会に近く、人間関係に気疲れするのも現実と同じである。
そうした環境でもROMに徹する人は少なくない。
ユーザー参加があたりまえのWeb2.0の時代とはいえ、インターネットの利用者の目的の大半は、未だコミュニケーションではなく一方的な情報収集である。
良く2:8の法則といわれるが、掲示板などの非ROMとROMの比率もそんなものである。
そしてこれは筆者の運営するSNSにおいても例外ではない。
もちろん筆者も、閲覧したblogやWebフォーラムのすべてにコメントを残しているわけではない。
そして必ずしもROMは悪いことではないと、筆者は考える。
なぜならば、SNSや掲示板では、ROMでは得られないことが数多くあるからだ。
ROM否定論の根底は一方的な情報搾取による不公平感であるが、必ずしもROMは得ではない。その上で選択的にROMを行うのは各個人の自由というのが筆者の持論である。
ROMではそこに書かれている情報しか得ることができない。
しかし、フォーラムに参加すれば、自分の得たい情報を選択的に収集することができるわけだ。
「私の県では法規で悩んでます。法規を担当した経験のある職員がいません。皆さんの県ではどうやっていますか?」
こういう発言を行えば、それに対する反応が多く寄せられる。自分が知りたい解決策が得られる場合もあるだろう。
これは、毎日関連フォーラムを閲覧して、たまたま同じ話題が登場するのを待つより、はるかに簡単で確実な方法である。
そしてROMでは決して得られないものがある。
それはヴァーチャルのみならず現実世界でも貴重な財産となる、人脈だ。
COMMENTS
店長は危険思考暴走癖あり
#-
2007/01/28 | URL | EDIT
私見ですが、古文の勉強はネット上でも意見、発言、対談に際し、実に有用と感じます。
現職公務員SE
#1tpQKjho
2007/01/28 | URL | EDIT
>波風立てる可能性のある発言行為をするよりは黙っているほうが安全、口は災いの元とも言いますし沈黙は金なり、とも。
>「対談の作法」なるものを多くの大人が考える時期かと。
なるほど、道理ですね。
先例が通用し、穏やかに時が過ぎる時代ではそれでも良かったのですが、
今や新しいことだらけで前へ進まないと自分のみが取り残されてる時代だと思います。
特に今回の制度改正についても。
言い方はきついですが、こうしろ、ああしろ、と外部から言われるまでボーっと待っているようではその組織は破滅してしまいます。
貪欲に外部に情報や解決策を求めないといけません。
そのためには旧来の作法など取るに足らぬもの。
幸い、ネットは現実世界と違う作法が存在しますから利用しやすいとは思うのですが…
店長は危険思考暴走癖あり
#-
2007/01/29 | URL | EDIT
合言葉は
「止揚しようよ!」
で。おそまつサマでした。
店長