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- 2006-1231 年末雑感(平成18年)
- 2006-1230 ポリシー調整(5)―情報の提供の可否(後編)
- 2006-1227 ポリシー調整(4)―情報の提供の可否(中編)
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- 2006-1221 移転しました。
- 2006-1219 ポリシー調整(2)―住基ネット違憲判決を受けて
- 2006-1214 後期高齢者医療広域連合設立準備(12)―ジグソーパズルの1ピース
- 2006-1210 後期高齢者医療広域連合設立準備(11)―LGWAN、このとても厄介なもの
- 2006-1209 憲法違反
- 2006-1207 大風呂敷
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- 2006-1201 未定稿走り読み(4)―更に突っ込んで…
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あっという間に過ぎた気もするし、blogをはじめたのが遠い昔のようにも感じられる。
そういえばいつの間にかカウンターが6桁になっていた。
延べ10万人の来訪者というのはとてつもないことである。
ご愛読いただいている市町村、準備委員会事務局、中央官庁ならびに関係機関、IT企業、そして一般読者の方々に、まずは感謝である。
そして、おりしも同じ時期にkei-zuさんの「自治体法務の備忘録」とalittlethingさんの「ある地方公務員電算担当のナヤミ」でこのblogや後期高齢者医療広域連合設立準備SNSのことをご紹介いただいた。あわせてお礼申し上げたい。
kei-zuさんは、alittlethingさんへのblogのコメントで「ニッチに特化したほうがアクセスは伸びる」と述べられているが、なるほどそのとおりだと思う。
ただ自分が、このような奇を衒ったテーマをblogで取り上げ、SNSを立ち上げたのは、別にアクセスを稼ぎたいからというわけではない。
それは平成14年制度改正時の、地獄のデスマーチを繰り返したくなかったからだ。
同僚達が過労と鬱病で次々と倒れたのは、ひとえに情報や相談する相手が無く、担当者が難題を1人で抱え込んでしまったからであろう。
今回は違う。情報の共有もさることながら、同じ問題を抱える多くの仲間が側におり、それだけでも救われるというものだ。
だが、改正の中身自体は平成14年をはるかに上回るものであり、道は困難だ。
巷では「保険IT特需」という言葉も出来たらしいが、来年は自分にとっても読者や会員の方々にとっても激動の年になるだろう。
このご時世、仕事が忙しいのは結構な事なのであろうが、ともあれ、体だけには気をつけていただきたい。
それでは最後に、
本年はどうもありがとうございました。
来年も「公務員叩きに物申す!」をよろしくお願いします。
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第184回「今年のありがとう」
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今まで記事の中で個人情報の提供に関し、「外部」あるいは「第三者」という言葉を用いてきたが、果たして広域連合というのは「外部」なのであろうか?
厚生労働省は平成18年9月13日に保険局総務課長名で「後期高齢者医療制度の実施に伴う準備業務等に当たっての留意事項について」(保総発第0913001号)という事務連絡を出している。
この中で広域連合への情報提供の根拠法令が高齢者医療確保法第百三十八条で示されているわけだが、その際の対応については(税担当課等から)介護保険担当課への情報提供へと同様であること、と述べられている。
その解釈については、平成18年9月20日付の国保新聞に「広域連合と市町村とでは法人格は異なるが、広域連合は市町村の事務を共同処理する形態のため、市町村内部部局への情報提供と考え方は変わらないとの位置付けによるものだ。」と示されている。
もしこの考えが正しいとすれば、市町村内部での情報提供と同じということであるから、前述の1、4、6などの目的外提供や二次提供などの問題についてもクリアできそうである。
(もし内部提供でもダメということであれば、現行の老人保健や介護保険での税情報利用や、処理の外部委託自体がダメということになるからだ)
確かに、介護の世界にも広域連合があり、現行でも市町村から税情報を提供しているはずだ。
介護がOKなのに後期高齢でダメということはなかろう。
しかし、高齢者医療確保法第百三十八条でいうところの「資料の提供」に「バッチあるいはオンラインでの電子データの送信」が含まれるかどうかは未だ定かではないし、この事務連絡や新聞記事では総務省の名前がどこにも出てこない。厚生労働省の単独見解としか受け取れない内容だ。
事務連絡が総務省との連名で、電子データ送信についての見解も含まれていれば何も問題なかったが、それは叶わぬ望みであった。
我々は、個人情報うんぬん以前にそもそも制度自体に反対する左翼系の大学教授やマスコミ幹部や市民団体代表といった公称「有識者」達に、個人情報保護審議会の場で「国保新聞の記事の切り抜き」で立ち向かわなければならないのだ。
だが悲嘆してもいられない。これは是が非でも実現せねばならないからだ。
貴方の所属の議会では、広域連合設立の議案や広域連合への分担金を含めた補正予算案は議決したであろうか?
そもそも「健康保険の一部を改正する法律」自体が広域連合の設立を強制するものであり、地方自治の本旨に反した憲法違反の法律であるという話もある。
しかし、そういう話を議論する時期はもはや過ぎてしまった。
実態はどうあれ我々は建前上、地方自治法第291条の11により自らの意思で広域連合を設立し、後期高齢者医療制度の業務を共同処理することになる。そして広域連合運営のための金も工面しているわけだ。
それなのに、その業務を行うための情報を渡せないというバカな話はなかろう。
我々には選択肢があるようでいて、実は無い。
「この方法」が適法かどうかという本質的な判断は、後期高齢医療担当課と法規担当課の打ち合わせの場ではなく、国を巻き込んだ司法の場で行われるべきであろう。
とはいえ、地方自治体としての責務を放棄するわけにはいかない。
各自治体の個人情報保護条例に照らし合わせ、審議会での検討といったものも含め、正当な手続きを経て情報提供がなされるべきであろう。
提案であるが、こうした情報提供や取り扱いに関し、市町村と広域連合との間で毎年覚書を交わすのはどうであろうか?
そしてその覚書の中で、提供する情報の内容や手段、その扱い、広域連合での外部委託、監査の実施やその結果の報告について定めるのである。
覚書で何でも済ますことができるわけではなかろうが、こうした紙切れ一枚で「法人格が異なる」という溝を埋めることが出来るのならば、安いものであろう。
そうそう、書き忘れた。
再三記載しているが、記事の利用は自己責任で。
** 追記 **
「情報の提供の可否」の記事を書くにあたって、SNS内の投稿記事等で参考にさせていただいた、あるいはご指摘や情報提供をいただいた、あるいは「頼むからオチを先に書くなよー」的な(ウソです)方々。↓
キャッツさん、おつかれーらいすさん、コボラーさん、uknaviさん、maillotさん、alittlethingさん、DEKA!!さん、UTF-8さん
この場を借りてお礼を申し上げます。
税担当課が本人等から取得した所得情報は、課税のためのものであり、地方税法のどこにも後期高齢者医療のために利用や提供を行ってよいとは書いてない。
即ち目的外提供ということである。
そして適用除外の基準となる生活保護の情報も、おそらくこれと同じ扱いになるのではないかと思われる。
厚生労働省はこの目的外提供の根拠として高齢者医療確保法の以下の条文をあげている。
第百三十八条 後期高齢者医療広域連合は、被保険者の資格、後期高齢者医療給付及び保険料に関して必要があると認めるときは、被保険者、被保険者の配偶者若しくは被保険者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者の資産若しくは収入の状況又は被保険者に対する第百七条第二項に規定する老齢等年金給付の支給状況につき、市町村その他の官公署若しくは年金保険者に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。
2 後期高齢者医療広域連合は、被保険者の資格に関し必要があると認めるときは、他の後期高齢者医療広域連合及び保険者に対し、他の後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者及び加入者の氏名及び住所、健康保険法第三条第三項に規定する適用事業所の名称及び所在地その他の必要な資料の提供を求めることができる。
3 市町村は、保険料の徴収に関して必要があると認めるときは、被保険者、被保険者の配偶者若しくは被保険者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者の資産若しくは収入の状況又は被保険者に対する第百七条第二項に規定する老齢等年金給付の支給状況につき、官公署若しくは年金保険者に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。
この条文は「広域連合が市町村税担当課に依頼することができる」というだけであって、「市町村税担当課が広域連合の依頼に従わなければならない」ということではない。
またたとえ依頼を受けてくれるとしても、条文には「文書の閲覧若しくは資料の提供」としか定められておらず、「月次(あるいは年次)の電子データの送信」とはどこにも書いていない。
「所得状況を紙文書で回答してやるから紙文書で依頼文を出せ」と言われてしまえばそれまでだ。
「資料の提供」が「月次(あるいは年次)の定例的な電子データの送信」というのは明らかに拡大解釈で、根拠条文としては甚だ弱いといわざるを得ない。
ここがポリシー調整で最大の泣き所、担当者が一番頭が痛い部分であろう。
なお、現在でも新共電等で国保連合会に老人保健の所得にかかる情報を提供している部分があるが、これは所得を元に市町村で判定した結果を提供しているわけであり、ナマの税額を通知しているわけではない。
ここに限っては「今までどおり」という言い訳は通用しない。
では、5はどうであろうか?
一般に市町村の個人情報保護条例で禁忌とされる「電子計算機結合」は、外部から市町村の個人情報等のDBにアクセスでき、参照や更新が行える状態を指す。
標準システムは確かに市町村と広域連合がLGWAN等のネットワークで接続され、双方向のデータ授受を行うため、「電子計算機結合」に該当しそうに見える。
しかし実際にはLASDECの定めるLGWANのFW設定でもデータの授受ができるよう、市町村から広域連合へのデータ転送は市町村側からの送信(PUSH)、広域連合から市町村へのデータ転送は市町村側からの送信要求(PULL)によって行われる。
要するに、広域連合側からは勝手に市町村の窓口サーバにアクセスすることはできず、「電子計算機結合」には該当しないということである。
なおオンライン接続については、総務省が「地方公共団体における個人情報保護対策について」(平成15年6月16日総行情第91号各都道府県知事・各指定都市市長あて総務省政策統括官通知)で以下のように言及している。
従来の個人情報保護条例の中には、地方公共団体の電子計算機システムを通信回線によって外部の機関と結合すること、通信回線を通じて外部へ個人情報を提供すること等を一律に禁止しているものが見受けられるところである。しかしながら、ネットワークを活用した情報処理がIT社会の実現に向けて不可欠であることに鑑み、一律に禁止をするのではなく、提供の目的、利用形態や権利利益の侵害のおそれ、受領者側における保護措置の状況等を個別に検討した上で提供の可否を決定すべきである。
このことから個人情報保護条例において一律にオンライン結合を禁止している場合には、早急な規定の見直しが必要である。
6については、単なる委託であれば全く問題ない。
個人情報の保護に関する法律では、単なる委託は第三者提供にはあたらず本人の同意は必要ない(第二十三条第四項)が、委託先でちゃんと適切に取り扱いされるように監督せよ(第二十二条)とある。
市町村の個人情報保護条例でも同様である。
ところが、情報提供先での委託となれば、話は少々厄介だ。
この結論についてはとりあえず保留しておこう。
最後の7であるが、
法律というのは施行されてはじめて効力を持つ。
制度の根幹たる高齢者医療確保法の施行は、平成20年4月1日である。
ところが、実際には平成19年の9月ごろから広域連合に各種情報を提供することになっており、この時点で効力を持たない法律を根拠とした個人情報の提供は果たして妥当か?
言い換えれば、平成20年4月以後しか情報の提供が出来ないのではないか?という疑問である。
これに対する解決策であるが、こういう考え方はどうであろうか。
確かに施行はされてないが、平成19年9月の時点で公布はされている。
公布はされているから、平成20年4月以降の制度の準備に情報を利用するということは対象者が認識できるはずである…
要は利用目的が明示されていることが重要であり、施行前うんぬんというのは重箱の隅の話であろう。
ひととおり見渡してみると、どうやら根が深そうな問題は1、4、6のあたりの目的外提供や二次利用の妥当性ということになりそうだ。
(続く)
** 追記 **
12月27日 税情報の提供につき、「日次」と誤記していたものを「月次(あるいは年次)」と改めました。
12月30日 7の根拠につき「健康保険法等の一部を改正する法律」の附則の以下の条文が該当するのではないか、との情報提供をいただきました。uknaviさんありがとうございます。(ただしここに規定されているのは都道府県と市町村のみであり、広域連合本体については含まれません)
第三十五条 都道府県及び市町村は、第七条の規定の施行の日前においても、後期高齢者医療の事務の実施に必要な準備行為をすることができる。
人騒がせな話である。
さて、以前の記事で情報の提供に関するポリシー調整が一番の難題と述べたが、今回は具体的にこの内容について触れてみようと思う。
個人情報保護といってもそんなに難しく考えることは無く、本質は、以下の一文に集約される。
「利用目的を明示し、その目的を達成する範囲内の情報を、本人の同意を得たうえで取得し、目的に沿った利用をせねばならない」
各市町村の個人情報保護条例は細かい点は違えど、本質は皆同じはずだ。
後は例外規定―目的外の利用や本人の同意を得ていない利用が許されるケースの規定や、そうした場合や疑義がある場合に審議会を開いて可否を判断するとか、大体そういった内容だと思う。
(他に情報開示や不服申し立て、罰則規定等がある)
では、今回の後期高齢者医療制度における、広域連合への各種情報の提供は、これらの条例に照らし合わせて容認されるのであろうか?
問題となりそうな点は以下の7つである。
1.被保険者等の住基情報の提供
2.被保険者等の特別徴収にかかる各種情報の提供
3.現行老人保健医療受給者の各種届出や認定情報の提供
4.被保険者等の税情報の提供
5.情報提供にかかる電子計算機結合とオンライン接続
6.提供情報等の広域連合における委託先への二次提供
7.根拠法施行前の情報提供
まず1である。
市町村の各種住基異動情報について、広域連合に提供を行うということの可否であるが、
高齢者の医療の確保に関する法律(以下「高齢者医療確保法」)に以下のような条文がある。
第五十四条 被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を後期高齢者医療広域連合に届け出なければならない。
(中略)
10 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第二十二条から第二十四条まで又は第二十五条の規定による届出があつたとき(当該届出に係る書面に同法第二十八条の二の規定による付記がされたときに限る。)は、その届出と同一の事由に基づく第一項の規定による届出があつたものとみなす。
細かい部分を省いて要約すると、転出、転入、転居、世帯変更の届出については市町村への届出を広域連合への届出とみなすということである。
法律に規定のある目的にそって情報を提供しているわけであり、市町村への届出がそのまま広域連合への届出になるわけであるから、これらについては問題ないであろう。
ただし、住基情報はこれだけではない。
例えば75歳年齢到達。これについては職権で届出を省略できる旨の厚労省の見解が出ているが、職権で行う場合は情報の利用提供について本人の同意を得ているわけではない。
これは死亡や職権消除、町名変更等、職権で行う他の異動についても全てそうである。
こうした本人の届出によらない異動にかかる住基情報の提供については、目的外提供と判断せざるを得ないであろう。
次に2。
後期高齢者医療の被保険者の保険料を年金からの天引き徴収を行うために、国保連合会等を経由して年金保険者と各種個人情報をやりとりすることの可否についてであるが、
これについては同じく高齢者医療確保法に以下の条文がある。
第百十条 介護保険法第百三十四条から第百四十一条の二までの規定は、第百七条の規定により行う保険料の特別徴収について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
ここで、改正後の介護保険法の該当条文は割愛するが、ともあれ、特別徴収に必要な情報や通知について、連合会、指定法人、社会保険庁等を経由して年金保険者とやりとりせよと言うことが記載されてある。
情報提供について法律に明らかに明記されており、目的にそった情報の提供であるため、2については問題ないであろうと思われる。
次に3。
老人保健制度において各市町村長が行った認定内容について広域連合が行ったものとみなし、その情報を提供することの可否についてであるが、
これについては「事務のやり方は変わっているが、情報を利用する目的自体が従前と変わっているわけではない」と解釈することができる。
つまり依然として目的にそった情報の利用だということだ。
1の問題を解く鍵もここらへんにありそうである。
(続く)
1.高裁初の違憲判決が出た。
2.違憲判決を出した当該裁判官が謎の自殺(?)を遂げた。
3.箕面市において、市長が住基ネット訴訟における上告を断念した。
4.判決命令を実行するために必要なシステム改修経費が最大3,500万円と報じられた。
確かに短期間でこれだけ事件が起これば、話題には事欠かない。
1〜3についてはこのblogで取り扱うべきでない要素が含まれているため言及は避けるが、4に対するネット上の反応には正直辟易した。
blogなどで有象無象の「素人システムアナリスト」が「どう考えても3,500万円は高すぎだろ」といった批評をしているわけだが、「どう考えても」の部分に感覚論以外のどういう合理的判断や根拠があるか小一時間問い詰めてみたいものである。
中には「1人で3,500万円だから4人なら1億4,000万だ」というトンチンカンな主張まで出てくる始末だ。
そもそも3,500万円はリスク要素(と利ざや)を含めた概算の最大見積もりであろうから、適正か否かを論ずる以前の話であろう。
そこまでは高くないとしても、履歴も含めてネットワークと連携した住基システムのデータにつき、整合性を保ちながら単独でネットワーク側のみ削除し、かつ今後も不具合が発生しないようにするのは、確かに一筋縄では行きそうにない。
一方で市町村住基データと住基ネットデータ、両方同時に削除するのは造作も無いことであるから、「システム改修をしないのなら今後全て手管理になる」というのはそういうことなのだろう。
(ところで箕面市は住登外を全て手管理しているのか?)
もちろん、後期高齢者医療制度も対岸の火事では済まされない。
後期高齢者医療制度も広域単位で個人情報を集約し、オンラインで一元管理するシステムだ。
しかも中を流れる個人情報の重要度は「たかだか基本4情報」の住基ネットの非ではない。
そして、たとえLGWANもしくは同等のセキュリティの回線を利用するといえど、住基ネットよりセキュリティ面で劣ることは否めない。
誰しもこういう不安を感じずにはいられないであろう。
果たして大丈夫なのであろうか?
先月神奈川県逗子市において委員会否決があったが、本議会での否決はこれが始めてである。
暗雲低迷とはこのことだ。
とりあえず臨時議会を開催して対応を行うらしいが、ともあれ関係者の健闘と良い報せを祈るのみである。
我々は将来に渡って国民皆保険制度を堅持し、確固たる高齢者の医療制度を確立するため尽力している。
そうした大層な大義名分を抱えてはいるが、現実は単純ではなく、道は平坦ではない。
様々なしがらみ、利害、思惑、といった「大人の事情」がてんこ盛りである。まさに「闇の道」だ
あるSNS会員の言葉を拝借すれば、このプロジェクトはジグソーパズルのたかだか1ピースである。
我々は奔走し、必死で絵を描こうとしているが、それすらただの1ピースでしかない。
隣接するピースは、例えば「保険者レセプト管理システムの相乗り」であり、「オンライン資格確認」であり、「広域連合事務代行システム」であり、「住民税への特徴の拡大」であり、「広域連合への介護や市町村国保の統合」である。
それに「大人の事情」という名の表向き見えないピースが絡み合い、余りに複雑な構造を成している。
このパズルは厚生労働省からもらえる説明書どおりにやれば、綺麗に組みあがるというものでもないし、完成図が設計図と同じとは限らない。
隣接するピースが上手くはまらなければやり直し。即ち貴重な税金の二重投資という憂き目を見る。
パズルの大きな絵がどういうものかとか、誰が描いているのかとかは、このblogで触れるべき話ではないが、たかだが1ピースの中身だけにこだわっていては失敗することは必定である。
だが、我々は周囲や未来に目を配るどころか、その1ピースですら探しあぐねている。
なぜならば、それを求めるための情報もなければ時間もない。もちろん資金もない。
これほど劣悪な環境はあろうか。
このblogとSNSは、そうした闇の道を照らすロウソクほどの光しかないかもしれない。
だが、無いよりははるかにマシであるし、ロウソクの光も集めれば闇を照らす光条となる。
そうなれば求めるピースが見つかる可能性も高まるし、ときにはその光で霞ヶ関を驚かすこともあるらしい。
そう考えれば、多少は気が楽であろう。
願わくは、関係者の皆が笑顔で平成20年4月を迎えたいものである。
万一説明が必要ということであれば、LASDECのHPを参照されたい。
(LASDECは厚生労働省と違って面倒くさいリンクポリシーがあるので、今回直リンクはやめた。必要であればインターネットを検索していただくか、過去の記事を参照していただきたい。しかしWeb2.0のこの時代にLASDECともあろうものが時代遅れのリンクポリシーを掲げるのはいかがなものか)
そもそも後期高齢の広域連合電算処理システムにLGWANを利用するという構想の根幹は、今年の1月19日に総務省が策定した「IT新改革戦略」にある。
この中には壮大なレセプトオンラインの絵が描かれるとともに「各府省や地方公共団体を接続するシステムについては、原則としてLGWANへの統合を進める」と謳われている。
「地方公共団体を接続するシステム」の第一弾が後期高齢者医療制度というわけだ。
良くも悪くもモルモットである。
文句を言うなかれ、我々がモルモットなのはネットワークに限った話ではないのだから。
さて、当初LGWAN一本で進めていた厚生労働省だが、途中で他の回線もOKだと態度を軟化させたのは周知の事実である。
LGWANは中々に厄介者だ。
問題点をざっと挙げていくと…
1.帯域の問題
まずLGWANやそれに接続するLGWANアクセス回線の帯域の問題がある。
線が細すぎるというやつだ。
増強対応をする都道府県は良いが、予算などの事情で来年夏までに対応されない地域にとっては大きな問題である。
ちなみにアクセス回線の帯域を確保しても、都道府県NOCやLGWAN提供設備の中身が古いままだと、十分なスループットが期待できないかもしれない。
2.手続きの問題
次に接続申請に時間がかかるということがある。
地方自治体側は一部の離島を除き、全ての市区町村で接続を終えているが、一部事務組合などは必ずしも接続しているわけではない。
そして後期高齢者医療広域連合は新規でLGWAN-ASPの申請を行わなければならないわけであり、もしLGWANを利用するならば、早急に要件を満たすための体制づくりと、申請手続の準備を進めなくてはならない。
また、LGWANに接続する広域連合電算処理システムのサーバ群を、自前で確保するのではなく、業者のIDCに設置する場合、その業者がLGWAN-ASPとしての条件を満たしていなければならない。
県内にそうした業者がいない場合、LGWANの利用は極めて困難だ。
3.利用プロトコルの問題
LGWANは非常に限られたプロトコルしか利用できず、とりわけ広域側から市町村へのデータ転送は不可能である。よって、データ授受を行う際は市町村側から広域に取りに行かねばならない。
もちろん「気になる木」さんのシステムはその前提で構築されるであろうが、市町村の窓口サーバの保守管理の面で難が生ずる。
例えば窓口サーバにおいて何らかのバージョンアップを行う場合は、媒体渡しとなることが確定であり、そしてその更新漏れ等の把握が困難である。またリモートによる初期障害切り分けやヘルプデスク対応も不可能である。
4.市町村ネットワークの問題
もともと市町村サイドにおいて、LGWANに個人情報を流すことを想定したネットワーク構築やポリシーがけを行っていないということである。
個人情報を扱うネットワークとは物理的(論理的ではない)に隔絶して、異なったポリシーがけをしている所が多く、中にはLGWANの先はクライアント1つだけで、ネットワークに引き入れていない市町村も存在するという。
LGWANにもインターネットにも接続できる端末で個人情報を扱っても良いかという議論もあるだろう。
現行の市町村のポリシーでは容認されないケースが多く、ポリシー変更には多くの市町村の反発が予想される。
一筋縄ではいかないことが理解していただけたと思う。
では専用線や広域イーサネットなどを利用したほうが良いのであろうか?
世は忘年会シーズンだが、昨今の公務員への飲酒運転への風当たりの強さは常軌を逸している。
hamrasさんのblogでも9月11日、9月12日、10月8日の、三度に渡って取り上げられているテーマであるし、その理不尽さについて今更言及するまでも無いだろう。
もちろん、飲酒運転自体は許されざる行為であるが、それは公務員も非公務員も同じことであり、公務員だけ特別扱いする理由とは成り得ない。
と思っていたら、彦根市の市長が代弁してくれた。
元記事は流れてしまっているが、そーみんという方のblogで取り上げられているから、元記事をご存じない方はこちらを参照されたい。
で、これに対する国民の反応は、
彦根市職員は飲酒運転報告の義務なし…抗議殺到の新基準
である。
やれやれとしか言いようが無い。
公務員には人権が無いと本気で思っている国民の方が多いようだ。
憲法を尊重する彦根市長はさぞ落胆しているだろう。
日本国憲法の理念は国民の尊重、個人の尊重である。
それを具体化するために各種人権を規定して保障しているわけだが、もちろん公務員も例外では無い。
確かに公務員はその性質上、一部の人権が制限されているが、それは原則「政治的行為の制限」「争議行為等の禁止」「営利企業等の従事制限」の3つだけである。
人権が制限されるのは「公共の福祉」による場合と、憲法上の他の規定による場合のみである。
前者は他人の人権と衝突する場合の調整であり、後者は国家が正しく機能するためのものである。
公務員の人権が制限されるのは後者の理由によるものであり、決して各種メディアの売り上げのためや、国民の政治不満に対する溜飲を下げるためではない。
彦根市のある市議は「公務員なら公共の福祉を優先すべきだ」と述べたそうだが、法律のことを何も分かっていない。(マスコミを始めとする世間の大多数も同様であろうが)
「公共の福祉」は「社会全体の公益」という意味で取られがちだが、正確には「人権相互の矛盾衝突を調整するための実質的公平の原理」のことである。(ウソだと思ったらインターネットを検索してみていただきたい)
そして個人の人権は「社会公共の利益」といった抽象的な価値を根拠に制限できるものではない。
なぜならば、憲法の最高理念は「個人の尊厳、尊重」であり、「社会公共の利益」といったものがそれに勝るとすれば、憲法の大前提が崩れるからだ。
(そして「社会公共の利益」が「個人の尊重」に勝るという考えは、ファシズムそのものである!日本は過去の戦争から何を学んできたのか!)
だから「公共の福祉」による人権制限は、あくまで個人同士の人権の衝突調整の場合にのみ適用されるわけである。
件の市議については、むしろ憲法を理解せず曲解して他人の人権を不当に侵害しようというものに政治家の資格があるか、と問いたい。
他にも法律を曲解して公務員の人権を侵害しようという意見は枚挙に暇が無い。
「公務員は憲法第15条第2項により全体の奉仕者だと決められているだろう!だから厳罰を受けたり厳しく批判されるのは当然だ!」
いやいや、それは「公務員は一部の奉仕者ではない、不公平な仕事をしてはいけない」という規定であって、別に国民住民の奴隷だと書いてあるわけではない。
「国民は憲法第15条第1項により、公務員を選定したり罷免したりする権利がある!だから国民世論で懲戒されるのは当然だ!」
これもひどい意見である。
憲法15条は全公務員について選挙による選出を求めることを意味しない。そして罷免には個別法が必要だという判例がある。
国民世論などというマスコミがいかようにも操作できるもので人の人生が左右されるのはとんでもないことだ。
「公務員には信用失墜行為の禁止があるだろう!」
いやいや、信用失墜行為の禁止や公務員のみに課せられるものではない。例えば弁護士や公認会計士、社会福祉士などの専門職にも同様な規定がある。
大体、民間企業のサラリーマンでも会社のイメージを大きくダウンさせるような行為をすれば、何らかの処分はされるだろう。単にそれが法律に明文化されているだけのことである。
もっとも新聞社によってはその当たり前の処分すらされない場合もあるようだが。
現在、公務員に対する風当たりは強い。
だが、公務員ということだけで不当な批判を浴びせるのは、明らかに職業差別であり、憲法第14条に違反しているといえよう。
マスコミ各社も憲法第9条云々とか大層なことを論ずる前に、憲法違反をしていることを猛省すべきだ。
憲法の理念を何と心得るか!
と、ここまで書いたところで、憲法第99条に気づいた。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
そうか。民間人は憲法尊重する義務が無いわけね…orz。
一部の資料を除いて公に電子データのものは出回っていないから、ここ数日間で全国で莫大な量の紙が消費されたことは想像に難くない。
直接出席された事務局や市町村が電子データを起こそうにも、あの文字や図の細かさとページ量では困難であろう。
厚生労働省の担当の方もお疲れとは思うが、もう少し環境保護に配慮していただきたいものである。
それにしても、介護、後期高齢、国保の特別徴収関係の資料の厚さが目を引く。
後日詳しく触れることになるとは思うが、市町村の介護システム(特別徴収部分)の改修は不可避であろう。
厚生労働省から(市町村の)介護サイドにはどれだけ情報提供しているのであろうか?
今まで(11月22日まで)の資料についても、良く読み込めば、介護システムの改修の可能性は読み取ることができる。
しかし、市町村の予算要求というものは「漠然とした可能性」や「想像」だけで出来るものではない。
12月議会の時期になって、後期高齢担当課の職員が介護担当課に「あの分厚い資料」を渡して、
「来年の秋までに改修お願いします」
といったら、間違いなく介護担当職員は激怒するだろう。
そこらへん、もう少し考えていただきたいものである。
さて今日は別の話、より薄っぺらい資料から片付けようと思う。
被保険者証にすりこむQRコードの話だ。
被保険者証へのQRコード刷り込みはいくつかの健保や共済が先行して行っている。
いずれ義務化になるとのことであるが、後期高齢の証でも刷り込むことを想定している。
QRコードの中には被保険者番号や記号番号など、証の基本的な情報が盛り込まれており、
医療機関の窓口で読み取って記号番号等の転記誤りを防ごうという試みだ。
単なる医療機関の書き間違いが、医療機関や保険者、審査支払機関に無益な労力を強いているという分析はそのとおりで、うまく機能すれば有難い話だ。
将来的には各種保険の資格情報をどこかで一元管理し、即時に使える証かどうかを判別する「オンライン資格確認」の構想もある。
このQRコード、携帯で読み取れて、記号番号などの中身を見ることができるらしい。
インターネットを検索すると、「やってみた」というblogがたくさん出てきた。誰しも考えることは同じである。
こういうのは一業界で複数規格があっては意味が無いから、後期高齢のものも恐らく同じだろう。
「暗号化しなくて大丈夫か?」という意見もあったが、被保険者証の表面に堂々と書いてあることなぜ暗号化する必要があるか、逆に聞いてみたい気もする。
QRコードが偽造防止にならないことさえ承知しておけば、別に何の問題も無いだろう。
さて、厚生労働省はこのQRコード導入で資格過誤の4割が削減可能と試算しているが、これは大風呂敷だ。
まず母集団が誤っている。
厚生労働省は16年度支払基金における資格過誤調整件数を元に試算しているが、全国の後期高齢担当課(老人保健担当課)職員を毎月悩ます「一部負担金割合の誤り」は区分の誤りとなるため、資格過誤ではなく事務上過誤に計上されるはずであり、試算の母集団には入ってないと思われる。
この数は、本市では資格過誤の約5割程度の実績があり、決して無視できない数だ。
そして証回収前の受診については、返戻による過誤調整を行うことが(医療機関の協力が無い限り)できない。
そうしたレセプトについては、被保険者(受給者)に不当(不正)利得の返還を求めたり、現行老人保健であれば支払基金を通じて拠出金の調整を行うわけだが、こうした件数も母集団には含まれていない。
余談だが、医療機関の窓口事務というのは想像以上に過酷だ。担当者の給与も資格過誤の件数によりペナルティが課せられる場合もあるという。
成績を上げようとすれば「保険者や役所からレセプト返戻の電話がかかってきたら、とにかく「証を見た」としか答えないこと」というマニュアルが出来てもおかしく無い。
少なくとも私が医療機関や薬局の管理者ならそうする。厚生労働省が診療報酬体系で締め付け、病院の経営が苦しくなればなるほどその傾向は強まるだろう。
話を元に戻す。
母集団もこれだけ違うわけだが、中身の内訳についても怪しい部分がある。
いわゆる「認定外家族」の過誤事由がどこに含まれるか、ということだ。
「扶養を切られたが証が差し替え(訂正)されていない」というのは記載誤りというより喪失後受診に近いわけだが、
この件数が「旧証によるもの」や「その他」ではなく「本人家族の誤り」に含まれているのなら、これも誤り要素の1つである。
何より、医療機関がQRコードを読み取る機械を導入しなければ効果が無いわけだが、
筆者の主観では、記号番号誤りを起こす医療機関は未だに手書きレセの診療所等が多いような気がする。
レセコンすら導入しないのに、QRコード機器導入に理解が得られるかどうかは甚だ疑問だ。
以上より、QRコードによる削減効果はせいぜい2割もあれば良いほうではなかろうか。
「(連合会を含めない)基金サイドの資格過誤」という極めて特殊な条件下では4割に近くなるかもしれないが、それは実態を正確に表してはいない。
正味では2割あれば御の字であろう。
誤解しないでいただきたいのは、筆者はQRコード導入に反対しているわけではない。
本当の効果はその次のステップ「オンライン資格確認」まで到達しないと得られないということだ。
「オンライン資格確認」は今までむしろ導入されていないのが不思議なくらいで、クレジットカードでもキャッシュカードでもまず有効かどうか確認してから処理を行うわけだが、
資格があるかどうか、本人のものかどうかも分からない証に大金を「見切り」で払ってくれる業界はここだけである。
筆者が懸念するのは、
大風呂敷を広げたことにより、「予想ほどの効果が無いじゃないか」と叩かれ、第一段階だけで頓挫してしまうことである。
この試みは「オンライン資格確認」まで行かないと意味が無い。
広げてしまった風呂敷は元に戻せないから、まずは三師会を説得し、医療機関や薬局への浸透を早期に図るべきだろう。








