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 長々と続けてきた医療制度改革の話であるが、最後に原点にたちかえって考えてみたい。

 そもそもなぜ、医療制度改革が行われなければならなかったのだろうか?
 それは国民医療費が増大し、保険財政を圧迫しているからである。医療費が増大したのは、国民が不健康になったとか、薬の無駄遣いが増えたとかいうことではなく、そもそも医療費が多くかかる老人の割合が相対的に増えてきたからだ。

 老人は若年者の5倍の医療費がかかる。
 たった1割の老人が国民医療費の1/3を使ってしまっている。

 
 この政府のプロパガンダの内容に誤りはない。
 だから医療費を抑制しようということである。

 今回の医療制度改革でも「限られた財源の中で、将来とも良質な医療を確保し、持続可能な皆保険制度とするために」高所得や療養病床の老人の負担を引き上げたわけだが、給付の見直し等の短期的施策による効果はたかだが知れている。

 改革の本丸は医療費自体の削減にあり、2015年までの削減予定の2.6兆円のうち、約2兆円に相当する。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/10/tp1019-1b.html
 具体的には予防の強化、すなわち生活習慣病対策であり、健康診断による保健指導が実現のための手段である。

 残念ながら健康診断は万能ではない。
 むしろ、項目の大半が役に立たないものであるという結果が昨年報道された。
 http://inoue0.exblog.jp/1553578
 現状、国はこれに約1兆円投入している。
 眉唾の健康診断で更に2兆円削減とは、錬金術のような話である。

 連載の冒頭にも書いたが、マスコミの記事や社説の多くは表面的、短期的な負担増しか述べず、この本丸部分の実現性に言及しているものは少数しか見当たらない。
 かくもマスコミは質が落ちたか、と嘆息せざるを得ない。
 公務員を叩いている暇があったら、もっと勉強していただき、皆のためになる記事を書いていただきたいと思う。

 さて、マスコミも触れないことを書くのが当blogの趣旨だとも思うので、更に切り込んで行きたい。

 そもそも予防は医療費削減効果があるのだろうか?
 病気の予防をすれば、なるほど、病院にかかる可能性は少なくなる。
 しかし、人は必ず死ぬ。
 病気の予防自体は意味があることであるが、医療費削減につながるかどうかは疑問だ。
 なぜならば死ぬときに医者にかからない者は稀であり、病気の予防は単にそれを先送りにしているだけだからである。

 そして、ここが重要な点であるが、医療費の大半は人が死ぬときに費やされる。
 町医者の待合室で四方山話をしている老人が、日本の医療費を食いつぶしていると思っている方が多いと思うが、それは大きな誤りだ。
 多少古いデータであるが、レセプトの金額の上位10%の患者が総医療費の6割、1%の患者が1/4を使っているという統計結果がある。
 そしてこれら高額レセプトの患者は大半が1か月以内に死亡しているのであり、社会復帰を果たしているものは皆無に近い。

 家族がドクターに「お願いします」と一声かけると、そこに莫大な税金が投入される。それによって、多少の延命が成功したのかもしれないが(これは実証しようが無い。なぜなら延命措置をしなかった場合と比較せねばならないからだ)、逆にいえばその金は他の多くの「これから生きていく人」への福祉に充当できるたかもしれないのである。
 命はかけがえがなく、金では買えない。
 しかし、感情論や精神論だけでは行政はなりたたない。
 少数の死にゆく命のために、どこまで我々は譲歩できるであろうか?

 我々は今までこの部分について議論を避けてきた。
 だが、タブーと言うのは体のいい言い訳だ。
 日本の公的医療制度がぐらついている今だからこそ、終末期の医療について明らかにし、国民全体が真剣に命の値段について議論するべきであると思う。

** 追記 **

 7月6日、カテゴリーを修正しました。
 7月8日、健康指導による医療費削減の実現性について、当初「マスコミ記事は一誌も無い」としていましたが、読売新聞ならびに日本経済新聞において言及されていることが判明しましたので、適切な表現に改めました。



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 シスアドでセキュアドな後期高齢者医療制度SNS管理人。
 後期高齢者医療制度の資格事務担当だったはずがひょんなことで電算担当に。

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