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6月9日、改正住基台帳法が成立し、原則営業目的の閲覧が禁止となった。

第11条
 何人でも、市町村長に対し、当該市町村が備える住民基本台帳のうち第7条第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。以下この項において同じ。)に係る部分の写し(第6条第3項の規定により磁気ディスクをもつて住民票を調製することにより住民基本台帳を作成している市町村にあつては、当該住民基本台帳に記録されている事項のうち第7条第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項を記載した書類。以下この条及び第50条において「住民基本台帳の一部の写し」という。)の閲覧を請求することができる。

第30条の29
 都道府県知事又は指定情報処理機関が第30条の5第1項又は第30条の11第1項の規定による通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等を行うに当たつては、当該都道府県知事又は指定情報処理機関は、当該本人確認情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の当該本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

 上記は住民基本台帳法という同じ法律の中の条文である。
 一方では「住所・氏名・生年月日等を誰でも閲覧できる」といい、もう一方では「住所・氏名・生年月日などの情報が漏洩しないようにしっかりとやらなければならない」と書いてあるのである。
 これほど矛盾した法律も珍しい。

 いわゆる「住民票」は、昭和26年、住民登録法の制定により生まれた。
 このころプライバシーという概念は存在せず、住民票は文字通り誰でも閲覧することができ、その理由さえ問われることはなかった。
 住民票の写し(謄抄本)は手書きである。そして当時の役人はカーボン複写職人であった。

 プライバシーという概念が初めて登場したのは、昭和36年、三島由紀夫の「宴のあと」事件だといわれているが、現在の住民基本台帳法はそれより後の昭和42年に制定された。
 やはり、住民票は誰でも閲覧することができるた。

 最初の国産コピー機が登場するのはそれより3年後、昭和45年のキャノン「NP1100」である。
 これにより初めて情報の容易な複写が実現できるようになったといっていい。
 IBMが初めてリレーショナルデータベースを発表したのもこのころである。

 こうした「情報複写技術」の進歩を受け、個人情報に基づいたダイレクトメールの送付が行われるようになったのは昭和50年代からである。
 これが後に社会問題になった。
 昭和60年に改正のチャンスがあったが、結局政府は「正当な閲覧理由を記載すること」という政令を付け加えただけで、第11条にはメスを入れなかった。
 誤解を恐れずに言えば、名実ともに「ザル法」と化したわけである。

 政府の言い分としては、

  1.ダイレクトメール以外にも学術調査やマスコミのアンケート調査利用等、
   様々な経済活動に利用されている。
  2.ダイレクトメールを受領する者が必ずしも不快とは限らない。

 の2点があった。

 20年以上前の当時であれば、その言い分は通ったかもしれない。
 だが時代は急速に変わっていった。
 パソコンがどんどん普及し、性能の良いHDDが登場して、情報の複写はますます容易になった。
 時代が昭和から平成に変わり、役所から流出した住民票の情報がWindowsやUNIXサーバのリレーショナルデータベースにどんどん蓄積されるようになっても、政府はこの取り扱いを改めようとはしなかった。
 住民基本台帳の閲覧件数は年間1,000万件を超えるところまでに達していた。

 とはいえ、政府も無頓着だったわけではない。
 個人情報保護の気運の高まりを反映し、ストーカー規正法や個人情報保護関連法などが次々と成立した。

 だが「第11条」は生き残り、個人情報を流出し続けた。
 異様な事態といって良い。

 ついには自治体の反乱も起きた。
 熊本市で全国で始めて住民票の閲覧を制限する条例が成立すると、全国各地で同様な条例が次々と制定された。
 「条例」が「法律」を規制するという滅茶苦茶な事態である。

 そしてついに、名古屋市において、わいせつ目的で住民票の閲覧制度を悪用した男が逮捕された。マスコミも政府の対応の立ち遅れを非難し始めた。

 それから1年余り、ようやく第11条は変わろうとしている。
 日本にプライバシーの概念が認知されてから、実に45年後のことである。

****
「住基台帳閲覧は中止した方がよくないか?」
「どこよりも詳しい個人情報ブログ」

** 追記 **

 7月6日、リンクを修正しました。



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 シスアドでセキュアドな後期高齢者医療制度SNS管理人。
 後期高齢者医療制度の資格事務担当だったはずがひょんなことで電算担当に。

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