- 2007-0121 新・筆者的SNS考(1)-ROM行為の是非
- 2006-1112 筆者的SNS考(後編)―迷走するSNS
- 2006-1108 筆者的SNS考(中編)―Web2.0とネットリテラシー
- 2006-1105 筆者的SNS考(前編)―なぜSNSがウケるのか?
さて、タイトルでいうROMというのは"Read only Memory"のことではない。
ネットスラングの"Read Only Member"、すなわち「掲示板などの双方向コミュニケーションの場で、読むだけで発言(記事投稿)を行わない利用者」のことだ。
応用として「半年ROMってろ!」(場の雰囲気をまずつかんでTPOをわきまえた投稿をしてください)という言葉もある。
このROMという行為は賛否両論がある。
発言というのはいわば情報提供にあたるわけだが、「情報を一方的に搾取するだけのメンバー」と酷評する意見もあれば、「情報価値が低い発言が増えるくらいならROMってくれた方が良い」と考える者も居る。
Webページの情報を閲覧するのは本を立ち読みするようなものだが、掲示板やチャット、メーリングリストなどを閲覧するのは他人の会話を聞くのに似ている。
耳をそばだてて人の話を盗み聞きするのは、現実社会では失礼な行為だが、ネット上では(完全ではないものの)他人に認知されずに容易に出来る。
情報は欲しいけど面倒はゴメンだ、というのは誰しも思うことだ。
言い方は悪いが、そういうことである。
一方、SNSについては、こうしたROMを減らしてコミュニケーションを促進する工夫がなされている。
足跡機能や友人機能(mixiのマイミク機能)などがそれだ。
「盗み見」や「盗み聞き」は相手に認知されない(と思える)から出来るのであって、明らかに相手が「その行為」を知ることができればそうもいかない。
知り合いとすれ違う際に会釈の1つも交わさなければ失礼にあたるのと同じだ。
その意味では現実社会に近く、人間関係に気疲れするのも現実と同じである。
そうした環境でもROMに徹する人は少なくない。
ユーザー参加があたりまえのWeb2.0の時代とはいえ、インターネットの利用者の目的の大半は、未だコミュニケーションではなく一方的な情報収集である。
良く2:8の法則といわれるが、掲示板などの非ROMとROMの比率もそんなものである。
そしてこれは筆者の運営するSNSにおいても例外ではない。
もちろん筆者も、閲覧したblogやWebフォーラムのすべてにコメントを残しているわけではない。
そして必ずしもROMは悪いことではないと、筆者は考える。
なぜならば、SNSや掲示板では、ROMでは得られないことが数多くあるからだ。
ROM否定論の根底は一方的な情報搾取による不公平感であるが、必ずしもROMは得ではない。その上で選択的にROMを行うのは各個人の自由というのが筆者の持論である。
ROMではそこに書かれている情報しか得ることができない。
しかし、フォーラムに参加すれば、自分の得たい情報を選択的に収集することができるわけだ。
「私の県では法規で悩んでます。法規を担当した経験のある職員がいません。皆さんの県ではどうやっていますか?」
こういう発言を行えば、それに対する反応が多く寄せられる。自分が知りたい解決策が得られる場合もあるだろう。
これは、毎日関連フォーラムを閲覧して、たまたま同じ話題が登場するのを待つより、はるかに簡単で確実な方法である。
そしてROMでは決して得られないものがある。
それはヴァーチャルのみならず現実世界でも貴重な財産となる、人脈だ。
mixiの成功依頼、多くのSNSが設立されているが、後発はどれも今ひとつパッとしない。
アダルトカテゴリーのいわゆる出会い系SNSの急増が業界全体のイメージをダウンさせているし、ゴテゴテにアンバランスに余分な機能を多く付けて「多機能ビジネス向け」と銘打ったSNSや、2ちゃんねる化を極度に恐れたのか「悪口は絶対禁止!」という言論統制まで引いたSNSなど、見ていて思わず苦笑してしまうようなものもある。
「自社SNSを作れば、コアなファンユーザーが獲得できるし、バトンを利用して宣伝やマーケティング調査も格安でできて、ウハウハ」という趣旨の安っぽいコンサルに踊らされている会社も多いのではなかろうか。
そして、当のmixi自体も現在は順風満帆とは言いがたい。
ユーザー数は600万人(公称。ただし多重登録による多数の規約違反者を含む)を超えた。
これだけ大きくなると、もはや管理が回らなくなるのは明らかである。
、招待メールはネットオークションやネット掲示板で取引されており、金儲け目当てのユーザーが数多く侵入している。
もし興味があれば「SNS」「不労所得」の2つのキーワードでインターネットを検索してみると良い。
いかにもうさんくさいサイトが山のように出てくるはずだ。
(筆者の主観だが、この手のサイトの殆どはネズミ講まがいだと見ている。その証拠に、ネットを検索してみると全く同じキャッチフレーズのサイトが多く出ているからだ)
mixiは個人情報の収集場としての側面も指摘されている。
mixi自体が大きな個人情報流出の事件を起こしているわけではないが、他から流出した情報(多くはウィニー系統のファイル交換ソフトによるもの)を用い、mixiの登録情報と照合することによって、より多くの情報が判明してしまうということである。
またmixiの中の機能で、氏名、性別、年齢、職業、住所、趣味などでユーザーを検索できる機能がある。
もちろん実名登録しているユーザーばかりではないが、業者にとってはこういうDBとcgi(正しくはplか?)が無料で利用できる状況はウハウハであろう。
(住基ネットではブラウザソフトの過剰な検索機能が問題となったが、マスコミ殿は民間企業が提供する数百万人が利用できる個人情報検索機能については何ら言及しない。釈然としないものを感ずるのは筆者だけであろうか?)
もちろん、SNSでの個人情報の公開は自己責任であり、mixiが重篤な法令違反を犯しているわけではない。
しかし、このような管理が行き届かない状態にあっても、実名登録を推奨している姿勢は批判されてしかるべきであろう。
誤解を恐れずに言えば、mixiはもはや「健全で安心感のある居心地の良いコミュニティ」ではない。
それは多くの専門家も指摘していることだ。
果たして、SNSには未来はないのであろうか?
最終的には2ちゃんねるのごとく荒廃し、個人情報の収集場や、ネットリテラシーに欠如したユーザーを食い物にする狩場と化すのであろうか?
筆者は決してそうは思わない。
そもそもSNSの本質は、コミュニケーションにある。
コミュニケーションにはある程度共通のテーマがあった方が都合が良い。
ならば、mixiのような巨大なコミュニティの中で同じテーマに関心のあるユーザーを探すよりも、最初から入会要件としてそのテーマを掲げておけば、世話はない。
例えば「ロータリー車愛好家」のみ入会できるSNSとか、「後期高齢者医療広域連合設立事務の関係者」のみ入会できるSNSとか、そういうことである。
確かにコミュニティとしてはより小さくなり、業者の「うまみ」は減るかもしれないが、裏を返せばそれだけ管理がしやすいということでもあり、「健全で安心感のある居心地の良いコミュニティ」を維持することもより容易になる。
テーマを絞ることが出来るということは、業者の収入源たる広告の効率も良くなるとも言える。
筆者は、SNSはある程度小さい方が良いと考えている。
mixiはある種IT業界のバブル的な産物であり、同じようなものが成功するとは思いにくい。
ある程度のカスタマイズはできるが、基本的にはコミュニケーションに機能を絞ったシンプルなSNSを、個人や法人にレンタルする。
そして申請のあったSNSのテーマにそった広告を、SNS内にうつ。
こういうこじんまりとしたビジネスが今後主流になってくるのではなかろうか。
社内のポータルサイトとして利用しても良いし、予備校生の交流サイトにしても良い。全国に散らばって暮らす家族が利用するのも良いだろう。
需要はいくらでもある。
SNSは迷走を続けながらも、将来的には人々の強力なコミュニティツールとして確固たる地位を築いていくだろう。
↓電算コミュニティ内のセキュリティトピック。侃々諤々、喧々囂々である。(クリックで拡大)

↓SNSのトップページを作ってみた。blog上部の緑色のプレートから行ける。(クリックで拡大)

一般ユーザーとの距離を縮めたのはblogであるが、SNSの登場により更に身近になった。
コミュニケーションの取っ掛かりは現実世界でも良く知っている友人であり、顔も見えず素性も分からない第三者をいきなり相手にするわけではない。
旧来のルールは必ずしも必要ではなく、例えば「バトン」といった既存の価値観に捉われないコミュニケーション手段も台頭しつつある。
だが一方で、そうした旧来のルールや処世術を知らないがための悪影響も多く懸念されるところである。
ITmediaは2006年6月23日の記事で、mixiのチェーン日記事件をとりあげ、ネットリテラシーが欠如したユーザーの増加が招く悪影響について示唆しているし、
2ちゃんねるの管理人ひろゆき氏も「ネタ(ウソ)をネタ(ウソ)と判る人じゃないと(インターネットを扱うのは)難しい」とTV番組のインタビューで答えている。
Web2.0時代のblogやSNSは、一般の人へのインターネットの間口を大きく開いた反面、「デマ情報」に免疫がない多くのユーザーを抱え込んでしまったとも言えるのである。
↓SNS内のコミュニティ。やはり皆が一番関心があるのは電算の話題のようだ。多くの会員が参加し、活発な意見交換が行われている。(クリックで拡大)

後期高齢者医療広域連合設立準備SNSは、多くの読者の方の賛意を得られ、会員数も20人を超えようとしている。
おかげで会員登録等の手続き処理に追われ、中々blogの更新も出来ない状態だ。
嬉しい悲鳴という奴である。
会員の方々から情報交換の場の提供について多くの謝意も頂戴した。冥利に尽きる。
さて、会員の方々は実に多彩だ。
元々mixiに慣れていて、手足のように使いこなしている方もいれば、
SNSは初めてという方もいるし、なんと50代の会員の方もいる。(さぞ、悪戦苦闘されていることであろう)
会員の皆さんには有意義な情報交換をしていただくとともに、ネットコミュニケーションの便利さ、素晴らしさを実感していただき、
同時にネットリテラシーについても身に付けていただきたいと思う。
(続く)
e-wordsからの引用によれば、「人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイト」とある。
プロフィール、日記、掲示板、メッセージなどの機能を備え、親しい人に日記の更新を知らせることも出来る。
日本で一番有名なのはmixi(ミクシィ)だ。SNSは知らなくてもmixiの名前に聞き覚えのある方は多いのではなかろうか。
SNSで特徴的なのは、その入会方法だ。
mixiで一躍有名になったが、招待制という方法で、既存の会員から招待を受けないと入会できないという方法である。
これは「ユーザーそれぞれの素性が明らかになり、健全で安心感のある居心地の良いコミュニティを維持する目的で採用されている」とのことだ。(Wikipediaより引用)
実はSNSは招待制だけでなく、自由に入会できるオープン制もあるが、コミュニティの質を保つためにある程度利用者が増加した段階で招待制に切り替えるSNSが多いようである。
こうした特殊なある種「排他的」な入会方法にも関らず、mixiは既に数百万人の利用者がある。
では、こうしたSNSが爆発的にHITした背景は何であろうか?
mixiと良く比較対象となるものに、巨大掲示板2ちゃんねるがあるが、なるほど2ちゃんねるは無法地帯で殺伐としており、一方でmixiは(例外的な部分はともかく)良心的なユーザーが多く温かみがあるように見える。
だが、いざ筆者がmixiを体験してみると、非常に窮屈で居心地が悪い。おかげで登録はしてみたものの、ずっと放置状態である。
決してサービスの中身が悪いわけではなく、相性で済ませられるような単純なものでもない。
その根本は「無形のルール」とでもいうべきものにあるからである。
ご存知の方もいるかもしれないが、自分は2ちゃんねるのディープユーザーであり、いわゆる固定ハンドルという奴である。
2ちゃんねるは異質だ。傍から見ていると、アンダーグラウンドの、それこそ犯罪者集団に見えるかもしれない。
しかし、その中でも多くの有益な情報はあるし、真剣な議論から止揚に至る場合もある。
無法地帯の中からそうした宝石をすくい上げるにはコツがいる。
このコツは現実社会のルールとは全く異質なものである。だから一般的なユーザーからは受け入れがたいのである。
2ちゃんねるの例は極端としても、ネット上には現実社会とは異なった多くのルールや不文律がある。
いわゆるネチケットというやつだ。
ところがmixiは他のネットコミュニケーションにさほど傾倒していないものでも参加しているし、実名顔写真入りで参加しているものも多い。
そこでのコミュニケーションは現実のそれに非常に近く、いわゆるネチケットを熟知していないものでも気軽に利用できる。
2ちゃんねるやネット掲示板は敷居が高い。だが、SNSは予備知識無しに、気軽に現実感覚で楽しむことができる。
SNSがウケる真の理由はそこにあるのではないかと筆者は分析する。
(続く)
↓現在のスクリーンショット。CSS編集がめんどい。(クリックで拡大)
